1967年@六畳間
グリコのおまけに1日だけハマった。
当時は一箱二十円だったかと記憶しているのだが確信はない。
持っていたお金を全部使って数箱を子供買いした。
親に見つかれば叱られるに決まっているから、誰もいない畳の部屋でこっそりとオマケたちとの悦楽の時間に溺れた。
1972年夏@生家の庭
日が沈み裏庭から続いてゆく林が青色の翳りに包まれる。
遠くからヒグラシの声が聞こえてきた。
真夏の静かな夕暮れ時間には、生家の庭を思い出す頻度がきわめて高い。
今夕記憶の海から浮かび上がってきた懐かしい場面、それは庭の畑でインゲン豆を収穫する子供の姿、私である。
木が鬱蒼と繁る庭は、父が一人で造り上げた。
その庭の一画に作られた畑。
夏はナス、ピーマン、とうもろこし…と賑やかだった。
ある年、父はインゲン豆を育てた。私は10才かそこいらだったと思う。
夏休みの夕方、母に言われて収穫した思い出。
土に突き刺した細い竹の棒にぐんぐん絡みついたインゲン豆の蔓でできたインゲン棚は私の身長を超えた高さに成長していた。