伯母にみかんを渡すとき 私はいつも宙に放り投げて渡しました 上手にキャッチした時に見せてくれる 伯母の笑顔が好きでした

文庫本で全８巻の大長編、吉川英治著「宮本武蔵」を 読み始めたのが、高校受験を控えた１月でした 読んだり読まなかったりを繰り返しながら高校に上がり その年の６月頃でしょうか、８巻目に入りました 休み時間を使っては読み進めて行き、ある日とうとう …

2年2組最後のお楽しみ会 班の出し物は「意地悪ばあさん」 脚本を作った私は、意地悪ばあさん役をNさんに お願いしました 私は意地悪ばあさんと暮らす息子夫婦の「若奥さん役」 誰もやってくれないのです、仕方ありません しかしこのキャスティングが功を奏…

冬場の練習に「坂ダッシュ」がありました 学校からすぐの場所に田んぼと神社があり そこの地形を利用してダッシュを何本も何本も しました ダッシュとダッシュの間は止まらずに ジョギングでつなげます 有酸素運動能力を向上させるためのきつい練習でしたが…

歌のテストがありました ふたりで歌う「つんつんつぼみ」 私は仲良しのタクミ君と組みました つんつんつぼみ つんつんつぼみ つんつんつぼみが なーらんだー 教室から小さな笑いが起こりました タクミ君が緊張から私の背中をギュッと つかんだせいで 服が…

帰りのホームルームが終わる 「起立！」 ガタガタガタ(生徒が椅子から立ち上がる音) 「礼！」 ピュー(Hさんが教室から出て行く音) Hさんはいつもあっという間に教室からいなくなり 帰宅の途につくのでした 放課後の滞在時間は1秒 休み時間も昼食もひとり ク…

18才まで陸上競技を本気でやっていました 中長距離が専門種目でした シーズン中は競技場トラック、冬場はロードレースが 主戦場となりました それなりの研鑚は積んでいたので 小さな大会では先頭に立つこともありました 先頭にはいつも特別の静けさがありま…

「あさししんぶん」 「ひおしがり」 母は最後まで「朝日新聞」と「潮干狩り」が ちゃんと言えませんでした

「牛乳はよく噛んで飲みましょう」 誰が言い出したのだろう… いっとき推奨された「牛乳カミカミ飲み」(私が今命名しました) 消化にいい飲み方なんだか知らないが そんな気持ちの悪い飲み方、私はしませんでした 周りを見てもそんな人いま………………した！ マジ…

小6になり次兄の机を譲り受けました その時、新品の電気スタンドも一緒に もらいました 台の上には小さな家が飾りについている かわいいスタンドで気に入りました 誰が買ってくれたのだろう… 謎のまま50年が経ってしまいました

晩ご飯にスープが出るとまず最初に マダラ状に浮かぶいくつもの油を箸で １つにまとめます そしてスープをいただきます 家でスープをいただく時の それが私のお作法でした

伯母がいつも行く肉屋さんは その時子どもだった私にもわかる 高級感漂うお店でした 伯母にしてみたら「そこが1番近いから」 というのが理由だったと思います とっても美味しい牛肉でした 伯母の味付けは薄いので 牛肉の美味しさが 尚更よくわかるのでした …

6年生をお送る会で 1年2組はドレミのうたを歌いました 私は「レモンのレ」をやりました

メガネのレンズが片方だけ割れてしまいました 数学の時間、目玉を描いた紙を割れたレンズの代わりに メガネに付けると 教師に見つかって大目玉でした

熱が出て学校を休んだ日の昼ごはんは 決まって玉子のお粥でした これが楽しみだったせいでしょうか しょっちゅう風邪をひきました

仏間には綺麗な布に包まれた琴が立てかけてありました 祖母の琴と聞いていました 琴はまるで家具の一部のようにじっとそこにありました 私はたった1度だけ祖母の演奏を聴いたことがあります 🎶さ〜く〜ら〜 ポロロン さ〜く〜ら〜 ポロロン🎶 ずっこけました 琴…

木登りが好きでした 庭の木によく登りましたが 床間のごつごつした柱にもよく登りました

マフラーを買いに行きました 好きな色合いのものを発見！ まったく同じ色使いで縦縞と横縞… どちらにするか迷いに迷い 結局、横縞を選びました 縦縞の方がカッコよかったかな…と 後日思うときもありましたが 自分には横縞がしっくりくるのでした それから長…

「みんな、先生の歌に合わせて自由に踊って下さい」 そう言うと先生はオルガンを弾きながら「ちょうちょ」を 歌いました 私はその気になってヒラヒラと踊りました その気になっていたのが先生の目に止まったのでしょう 指名され、全員の前でひとり踊りました…

小4の３学期 各班に分かれて壁新聞を作りました 私とK子ちゃんは歌のコーナーを担当しました はやり歌の歌詞を書くのです K子ちゃんは麻丘めぐみさんの「女の子なんだもん」 私はちあきなおみさんの「喝采」 それぞれを聴き覚えで書きました 「もふく(喪服)…

寒風吹きすさぶ朝でした 快晴の空を背景に颯爽と飛ぶ鳥が1羽 ……！ それは風に乗って空を行く1枚の枯葉でした

小3の冬休み、宿題の書き初めは「ふじ山」 ふじ山の「ふ」に苦しんだ記憶があります

正月の初売り 都心にある有名百貨店のデパ地下の混雑は 尋常ではありませんでした 伯母と兄姉たちと行ったのですが 私と次兄は 群衆のうねりに飲み込まれてしまい あっと気がつくと 伯母たちとはぐれていました その時私は6才7才くらいでしょうか そうすると…

元日は地元にある菩提寺に 2日は成田山新勝寺に 父は初詣をずっとそのルーティンでこなし続けました 私も子供の頃は父のルーティンの半分に乗っかっていました 2日の成田山詣でにくっついて行ったのです 屋台の焼きとうもろこしが目的でした

赤い洋凧にポスターカラーで銀色の月と 金色の太陽を描いて揚げました 凧は絵の具の重さのせいか 高くは揚がりませんでしたが 遠くには揚がりました かなり遠くまで揚げました ３巻きつなげて長くした糸の全部の長さです 最後はとうとう糸が切れて凧はどこ…