風のスケッチブック

記憶を旅する脳内タイムトラベラーの手帳

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

最優秀歌唱賞

2年生のとき「もーみーの木ー」ときれいに歌ったFさん 4年生のとき「茶摘み」をきちんと歌ったTくん 同じく4年生のとき三善英史の「雨」を見事に歌い上げたHさん 5年生のときぴんからトリオの「女のみち」を渋く歌ったAくん 6年生のとき「あひると白ぶた」を…

トッピング

友だちにお呼ばれされました 立派な家ときれいな庭のお宅でした 庭には対面式のブランコがありました カップのアイスクリームが出され 私は対面式ブランコに 腰掛けて食べることにしました ブランコを小さく漕ぎながら食べ始めると バニラアイスの 白に点々…

給水所

学校の帰り道 クラスメートのNさんの家に 寄ることがありました 玄関先でお水を飲ませてくれたのです まだ低学年の小学生には長い道のりに感じた帰り道 途中でいただくヤカンに入った冷たい水はとても 有り難いものでした 噂は広まって最初数人だったお客が1…

UFO

教室で仲良しの友だちと少年誌の怪奇コーナーを見て 震え上がっているような単純で気弱な小学4年生は ある夜庭先でとうとう見てしまいました 光る円盤状の物体が頭上をスーッと飛んで行った… ゆ…ゆゆゆ これは決して口外などしてはいけない秘密だ! 言いふら…

柳の木

小学校の通学路には大きな柳の木が1本ありました 私はたくさんの葉を茂らせてサワサワ揺れる木の下を 通るのが好きでしたが 友達から恐ろしい話を聞いた時から 柳の下を通ることをやめてしまいました 「柳の下を3人で通る時 真ん中の人は死ぬんだって…」 本…

下駄箱

一刻を争う尿意でした 靴をきちんと脱ぐ余裕はありません 上ばきなんて履いてられない とにかく早くトイレに! するとすごい怒号がおしっこの漏れそうな少年を 引き止めたのです 「ちゃんと靴をそろえろ!ばかもん!」 それはかつて次兄の担任をしていた先生…

3つの選択肢

半ドンで終わる土曜日が週の中で1番好きでした 早く帰れるのが嬉しいのと 明日は日曜日という喜びで 幸せなのでした 帰宅すると 家の中はどの曜日よりもがらんとしていて 広く感じました 年の離れた兄姉たちは中高大学生なので 半ドンとは言え それほど早い…

幻のウサギ

休んだ子にプリントを届けました 感じのいい平屋の白い家でした ウサギを飼っていることを聞いていましたが 果たして私はウサギを見たのか 見なかったのか そこの記憶はおぼろげです

おんぶ

祖母はぐずって眠らない赤ん坊の私をおんぶして 近所を歩いたそうです その習慣は赤ん坊がもはや赤ん坊とは言えない 大きさに成長してもまだ続いていたようです 後年 近所の駄菓子屋のお婆さんが言いました 「わたしゃあんたが足の不自由な子だと思ってたん…

月の観察

宿題が出ました 「月の観察」 1週間だか2週間だか 毎晩月を観察、記録しなさいという 勉強ギライが玉にキズの小学2年生は1日だけやって あとはやりませんでした

同じ夢

夢の穴に落ちていた頃 何度か同じ夢を見ました 野原にほったて小屋が建っていて 中を覗くと暗い屋内には黒い服を着たお婆さんが じっと座っているのです 隙間からは薄い光が漏れ入ってきます それだけ 怖い夢ではありますが決して悪夢ではない どこか不思議…

夢の穴

まだほんの小さな幼児の頃 眠りに落ちる瞬間は枕に底なしの闇の穴が開きました そしてその中に落ちてゆくのでした

登下校 ー今川焼きー

3年の受験期になると学年全員が休日に登校して 業者テストを受けさせられました 確か月1くらいで5回 5回の偏差値アベレージで受験する高校を 決めるのでした 初冬 最後ー5回目の業者テストの帰り道でした M君と今川焼きを買い食いしました 5個ずつ… M君はペ…

登下校 ーイリュージョンー

生家には2匹の猫がいました それ程キレイとは言えない飼い方をしていましたから ノミはいつもいましたが 汗ばむ季節には数も増えるし 動きも活発になりました 閉口したのは登校の道中をC君と歩いていて 左手の甲に2匹のノミを見つけた時でした ノミを見つけ…

登下校 ー15歳ー

3年生後半くらいからでしょうか C君と歩く登校コースは住宅街にポッカリと残された 広い野原を左手に見る道を選ぶようになっていました 手入れをされた野原でした キリン草やブタクサの原っぱとは違う 秋にはたくさんのコスモスが咲くような野原でした それ…

登下校 ー人間の証明ー

帰り道 青空に向かって自分の帽子を 高く放り投げました 友人はジョー山中が歌う人間の証明のテーマを 歌いました

登下校 ー立ち読みー

下校の道中は道草パラダイスでした 友人の用事に付き合ったり 噴水広場がある団地の広い公園で遊んでいったり 電車通学してる友人の電車に一緒に乗ってみたりと 好奇心に任せてふらふらする帰途でした 色々のふらふらがありましたがその中には 立ち読みがあ…

登下校 ーコロコロの後はドサッー

その日はK君と一緒に下校の途についていました パチンコ屋さんの裏道を歩いているときです コロコロとパチンコ玉が1つ転がっているのを発見! 登校時と違って下校の時は道草のやり放題です 私はパチンコ玉1個を握りしめパチンコ台の前に立ちました 勝負はも…

登下校 ーセブンイレブンー

私が中1の時 と記憶しているのですが 念のため調べてみました するとその店舗が1975年10月開店とあり 記憶が確かであるとわかりました 毎朝C君と歩く40分の通学路は 住宅街 駅前商店街 マンモス団地街 を抜けてゆく変化に富んだ道中で 道すじは幾多のバリエ…

登下校 ー画鋲ー

いつものようにC君の家に寄った朝の いつものように玄関先で待つ間のことです 片方の脇の下がいつもと違っていました チクチクと刺すように痛いのです (虫が入ったのだろうか…) 意を決して詰め襟のボタンを全部外し ワイシャツのボタンも上から3つ目まで外…

登下校 ーレモネードー

中学の3年間 学校まで片道40分の道のりを 毎朝C君と一緒に歩いて通いました 学校からより遠い私がC君の家に寄っていくのですが ある朝C君の支度が遅れて玄関先で少し待つことになりました その時C君のお母さんが 待たせてごめんなさいね と言って 出してくれ…

帰途の空

毎年夏休みには都心にある母の生家に長逗留しました 小さな古い家では 母の実姉と実父が落ち着いた静かな暮らしを 立てていました ゴタゴタの絶えない大家族に暮らす 私の普段の暮らしとはまるで正反対の日常が 好きでした その夏は兄姉たちの都合がつかなか…

花より団子

もう50年も前 仮面ライダーのスナック菓子が 少年たちの間で大ブームでした おまけに付いてくるカード集めが流行ったからでした カードだけ取り出して お菓子を捨ててしまう子がいるくらい 異常なブームは社会問題になりました 捨てられたスナック菓子のゴミ…

階段ギャラリー

中学1年生のときは 3年の先輩たちが大人に見えました ある日校内では1階から4階までの階段の壁を使って 3年生の絵画作品が展示されました 私はその技巧と想像力に圧倒されながら ゆっくりと階段を登りました ようやく4階まで来て最後の作品を目にした時です …

すごい応援

長距離走をやっていた高校時代に春の市民大会5000mを 走りました 400mトラックを12周半走るのですが 周回ごとに私の名前をちゃん付けで応援する 声が聞こえてきます 何周目かで声の主を発見! なんと母がゴール付近の審判たちに紛れて 手を叩きながらキャー…

古い冷蔵庫

次姉が大学生の時 生家では冷蔵庫を 1ドアから2ドアに買い替えました ちょうど次姉の学友が一人暮らしに 冷蔵庫を欲しがってるということで 古い1ドアの冷蔵庫はその学友に 引き取ってもらうことが決まりました さて引き取りの当日 次姉と友人たちは 長い間…

シーモンキー

家計は決して楽ではなかったと思うのですが 小学校の6年間 学研の科学を取ってくれました ある月の附録教材は「シーモンキー」 ケシ粒のような卵を水に入れると間もなく孵化しました へー…… 私の知的好奇心はここで終わりでした 父の紅茶キノコと似たり寄っ…

ふたけたの掛け算

父が作ったダイニングテーブルは 寄りかかるとガタガタ揺れました そのテーブルで 母にふた桁のかけ算を教わりました のみこみの遅い私でしたが 気の長い母は我慢強く 教えてくれました 「お母ちゃんお便所行ってくるからね それまでに この問題をやってみて…

よそゆき

私の子供時代 母のよそゆきは一着だけでした 授業参観とか 電車に乗るようなお出かけとか いつもこの服でした 自分のものを少ししか持たない 93で一生を閉じるまで 母はそうでした

丸くて赤い

その日は体育館の半分が柔道部 半分がバスケ部という 割り当てになっていました 先に来ていた友人がコートの端っこに突っ立っていたので 近寄っていくと 友人の丸いほっぺたの片方が赤くなって いるのが判りました 柔道部のスペースを横切る時 畳のヘリを踏…